暗くなるまでには
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1976年タイのタンマサート大学で、左派学生と市民活動家らの集会に警察が乗り込み百人以上もの死者を出した“血の水曜日”虐殺事件が起こる。映画はこの集会に参加していた元活動家の女性作家に、ある映画監督がインタビューする場面から始まる。並行して描かれる有名俳優やウェイトレスの物語を行き来しながら、作品は徐々に一人ひとりの人生の断片を重ね合わせ、タイの現在を浮かび上がらせていく。過去と現在、虚構と現実、記憶と空間を交錯させて、既存の映画文法をスリリングに逸脱していく演出は圧巻で、ロカルノ、ロッテルダムをはじめ世界数十カ国の映画祭で上映され高い評価を集めた。