俺たちに翼はない
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——大都市「柳木原 」 。
おびただしい数のひとと建物がひしめく、巨大な繁華街。
季節は冬。
見上げれば、そこには無表情な白い空。
羽田タカシには人に言えない秘密があった。
冴えない学園生活から逃れ、いずれは異世界・グレタガルドへと消えるつもりだったのだ。
ただ胸にあるのはいくつかの心残り。 顔を合わせてはぎこちない会話をする妹・ 『羽田小鳩』のこと。
そして、学園のプリンセスと称えられる仮初の恋人 『渡来明日香』 のこと・・・・・・。
千歳鷲介はしがない貧乏フリーター。 色んなバイトしながら日々を面白おかしく過ごしている。
そんなある日、ひょんなことから学生作家の 『玉泉日和子』と出会う。
第一印象は最悪・・・
その直後に行きつけのレストラン 『アレキサンダー』で
再会するふたりは店長に誘われるまま、
微妙な関係の仕事仲間となりっ!?
成田隼人。職業は無職。 星座、血液型はナイショ。
性格は自称・ハードボイルド。
肉体労働系のバイトで日々を食いつなぐかたわら、
便利屋の真似事もこなしていた。
人付き合いを疎んじている隼人だが、
同じく夜の街に暮らす風変りな人間や
不良少年たちが集まってくる。
そんなある夜、 『鳳鳴』と名乗る少女が、
便利屋隼人のもとを訪れた――。
ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たち。
彼らが出会う、恋ともろもろ。
それはきっと何処にでもある、ありふれた物語。
これは“たとえば”の話だけど、
ぼくらが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン。