その手にのるな
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アパートの新築工事場でバーの女給が殺され、五万円相当の物が入ったハンドバッグが奪われていた。捜査に当たった栗林刑事(渡辺文雄)の目は近くのアパートに住むキャバレーの楽士岸田良平(高橋貞二)に向けられた。彼には彼を裏切った妻を刺したという傷害罪の前科があった上、殺害現場には彼の勤め先のマッチが落ちていたからだ。しかし警察に出頭した岸田は頑強に犯行を否定、物的証拠のないまま彼はアパートに帰った。しかしこれを知ったアパートの住人たちは彼を殺人犯として冷遇、あることないこと噂しあっていた。岸田は真向いのアパートに住むストリッパーの立花由美(杉田弘子)に秘かな思いを寄せていた。しかし由美には牧信二(南原伸二)という鉛管工の恋人がいた。そしてこの牧は世間の人から信用され、殺された女給の妹、洋裁学校に行っている浅井光子(小山明子)を由美とともになぐさめ、はげましていた。ところが、この由美のところに、岸田が殺人の夜、工事現場で牧らしい人影を見たといって来た。それとなく由美が牧にただすと、彼ははっきり否定した。そこで由美も岸田を憎むようになった。