捕物帳の元祖といわれる岡本綺堂の原作を多彩なアレンジを加えてドラマ化した、岡っ引きヒーローの痛快時代劇アクション。かつて長谷川一夫・尾上菊五郎・平幹二朗といった錚々たる顔ぶれによって演じられてきた町人のヒーロー「三河町の半七」を、庶民の役は初挑戦となる里見浩太朗が颯爽と演じている。クライマックスで悪人たちを前にした半七の決めゼリフは「仏の半七、今日こそ鬼になるぜ」。ライバル岡っ引き・長次を演じる山城新伍は里見と同じ東映ニューフェイス出身で、30年ぶりの共演ながら息のあったところを見せている。捕物の面白さは勿論のこと、江戸庶民の生活ぶりや風俗や人情、涙と笑いなどが丹念に描かれた上質のエンターテイメント作品。